熱海~来宮


熱海駅を出た伊東線は野中山トンネルをくぐり、僅か1.2km、2分ほどで来宮駅に到着します。この区間は伊東線で唯一の複線区間ですが非常に短い区間になるので、基本的には来宮駅で停車中の列車交換が多く、稀に駅間でのすれ違いが見られる程度です。

この区間の大半を占める野中山トンネルは元々東海道線のトンネルであり、熱海駅の東海道線下りホーム3番線から野中山トンネルの方を見ると、線路が真っ直ぐ繋がっていた面影を感じます。
現在の東海道線は熱海を出ると緩やかに右へとカーブし、野中山トンネルの山側に作られた新野中山トンネルを抜けて来宮駅まで並走します。

なお、野中山トンネルから来宮駅までの間は非常に高い築堤で谷が埋め立てられている形になっていますが、これは1933年に貫通した東海道線丹那トンネルの建設工事の際、大量に出たズリと呼ばれる土砂で埋め立てて路盤を築いているそうです。

丹那トンネルを挟んで反対側、東海道線函南駅の三島方にも丹那トンネルのズリによって谷を埋め立てた大築堤があり、熱海~来宮間の築堤にある石積の道路トンネル(トップ画像)とよく似た河川トンネルがあります。

伊東線は野中山トンネルを出ると、来宮駅の手前で海側へと緩やかなS字のカーブを描きながらホームに進入しますが、恐らくこの付近で東海道線から伊東線へと分岐していた名残だと思われます。
野中山トンネルの来宮方坑口の上部には、海側から線路を渡って山側の墓地へと繋がる歩行者通路と熱海駅の第一場内信号機があり、通路から信号機の真裏を通る事が出来るのがユニークです。
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